オランジェ矯正歯科グループの取り組み
オランジェ矯正歯科グループが矯正治療する上で大事にしている事は、ホームページに書いてあるように
①全ての矯正
②顔の審美性を重視した矯正治療
③矯正治療のための一般歯科
の三本柱ですが、実は隠れた裏テーマがありまして、それは『患者のワガママに応える矯正歯科でありたい!』という事なんです。
そのためにオランジェ矯正歯科では様々な取り組みを行っています 今回はその中で顔の非対称に対する取り組みをご紹介します。
そもそも顔の非対称とは?
みなさんが自分の顔の非対称に最初に気づくのは上と下の前歯のズレが気になり出して始まることが多いです。何かの機会にジッと鏡を見てイーってしてみると自分の前歯の正中線が合ってない事に気づきます。また、証明写真などで改めて正面から顔を見たときにアゴが左右に曲がっているように見えて悩む方も多いようです。
実は、顔というのは完全に左右対称の人はほとんどいません。人間のカラダは、腕の長さも左右少し違いますし、目や耳など顔のパーツもよく見ると左右で大きさが違ったり、高さがズレていたりします。ですので、実は顔の非対称はほぼ全ての人に当てはまる事なのですが、その中でも非対称の程度が強いと気になってしまう、という事になります。
顔が非対称だとどんな不具合があるの?
顔が非対称である事を気にされて相談に来る患者のほとんどが訴える内容は、顔が非対称であるために笑顔が不自然になる、という点です。
最近では、髪型にアクセントを付けるためにアシンメトリーというテクニックがよく使われますが、このアシンメトリーとは左右非対称を表す用語です(逆に左右対称はシンメトリーと言います)。髪型では良いアクセントになりますが、笑顔がアシンメトリーの場合、確かに相手に不自然さを感じさせる事もあるようです。
例えば、女優のともさかりえさんや有名モデルの森泉さんは顔が非対称である事が知られています。その笑顔写真を見ると必ず片方の口角だけが上がってしまい、何か企んでいるようなニヒルな笑い方になってしまいます。これは顔が非対称な笑顔の特徴です。ともさかさんの場合は下アゴが右に曲がっていて、口角はアゴが曲がっている方に合わせて上がるため、右の口角だけが上がることになります。
このような症状にコンプレックスを持ち矯正治療を希望される方も多いです。
なぜ顔は非対称になるのか?
顔の非対称が上アゴに表れることは少なく、ほとんどのケースは下アゴが左右どちらかに曲がっています。
下アゴは10〜18歳ごろに大きく成長しますが、この時期に何らかの問題が起きて下アゴが左右どちらかにズレて成長してしまい、顔が非対称になる事が多いです。
顔の非対称の治療方法
下アゴの骨格的なズレから起こってしまっているため、根本的に治すには手術をして治すしかありません(美容整形とは異なり、形成手術になります。顎変形症手術と言います)。しかし、手術となると入院期間も必要であり、そもそも全身麻酔での手術が怖くて治療に踏み切れない人も多いです。
そこで、患者様からよく頂く希望は
『手術をしないで矯正治療だけで顔の非対称を目立たなくしてもらえないか?』
そんなワガママは可能でしょうか?
手術をしないで顔の非対称を改善するにはどうするのか?実際の治療例で説明してみます。
ANさん(28歳 男性 会社員)はアゴの曲がり感を気にされて相談に来られました。(症例の解説に関してはプライバシー保護を考慮して写真の一部は隠しています。また掲載について患者の了解を得ています)
相談時の顔写真と口の中です。八重歯などもあるため目立ちにくくなってはいますが、上下前歯の正中はズレており、下アゴ自体が左にズレています。やはり笑った時には左の口角が上がってしまいます。
まずは検査を
どの矯正歯科でも治療を開始する前に様々な検査を行います それは、現在の状態をしっかりと分析して把握することが矯正治療の成功にとって最も大切だからです。
オランジェ矯正歯科グループでは、
非対称の場合には通常の横顔のレントゲン写真(側貌セファロ規格写真)に加えて、CTレントゲンを撮影して3次元的に分析します。
検査した結果から、左右の非対称が歯並びの問題だけの場合は通常の矯正治療だけで治ります。 しかし、ほとんどの場合は骨格からズレています。 成長の残っている子供の時には正しい方向に成長させて非対称を改善することも可能ですが、成人の場合には手術をしない限り左右非対称は根本的には治りません。ANさんもやはり同じく骨格的なズレが起こっていました。
精密検査の結果から得られたANさんの診断名と治療計画は以下になりました。
診断名
骨格性左側偏位を伴うアングル1級叢生
治療計画
①上下左右の前から4番目の小臼歯と呼ばれる奥歯を4本抜歯
②マルチブラケット装置(いわゆる表側ワイヤー)を使用
しかし、この治療計画は一般的なもので、このまま治療しても非対称は治りません。そこで、手術なしで顔の非対称を改善するには戦略が必要になります。
具体的な左右非対称を改善する戦略(歯科医師向け)
では、具体的にどういう戦略か説明します。ところで、このパートは専門用語が多めになります。どちらかと言うと歯科医療関係者向けの説明になりますので、めんどくさい人は読み飛ばしてもらって大丈夫です。
先ほども伝えましたが、ほとんどの人は骨格的に非対称です。なので基本的に矯正治療によって左右対称にする必要はありません。あくまで、機能的に問題のない咬合状態にして、審美的に気にならないレベルまで非対称感が無くなれば大丈夫と考えています。
非対称に対する当院の戦略は目の錯覚を利用します。人間は他人の顔を認識する際に、会った瞬間の数秒程度で顔の全体のバランスを把握し、その人の顔の印象として記憶すると言われています。
その瞬間、顔のパーツ毎に明確なズレがあると顔の非対称を意識するのではないかと考えています。
なので、
非対称と認識させないためには、目から鼻、上あご、上の前歯、下の前歯、下あごといったパーツが移行的になる必要があると考えています。そのため上下の前歯は偏位側に傾斜させる必要があります。イメージとしては、左右の目の真ん中、鼻筋、上唇、上の前歯正中、下の前歯正中、下唇、オトガイが一本の曲線に沿って並ぶように意識して配置します。
また、このように前歯正中をなびかせて仕上げる場合、正面から見た咬合平面は偏位側に向かって斜めになってしまいます。前歯の正中線が傾斜してもそこまで違和感は出ませんが、なぜか咬合平面が斜めになると多くの患者様は違和感を感じますので、その対策として前歯の高さを偏位側に向けて1本ずつ徐々に低くしておくと全体のイメージとして左右の非対称感が薄れるのでオススメです。
ANさんの矯正治療結果
このような戦略で治療した結果が写真のようになります。
かなり左右の非対称感が改善したのではないかと思います。唯一残った問題として、口角の上がり方に少しの左右差が残ってしまいました。 ただし、口角の上がり方は矯正治療後に口腔周囲筋を鍛えること調整が可能です。現在はもう少し口角の上がり方も左右対称になってきています。
このように手術をしなくてもある程度の顔の非対称感は改善する事が可能です。興味のある方はお気軽にオランジェ矯正歯科グループまでご相談ください。
〈症例の概要〉
主訴:八重歯、アゴの曲がり感
患者データ: 20代/男性/会社員
診断名: 骨格性左側偏位を伴うアングル1級叢生
治療方法: 上下顎両側第1小臼歯抜歯、マルチブラケット装置
治療期間(通院回数):2年6か月(34回)
治療費用:¥990,000(税込)
リスクと副作用:治療上のリスクとして歯根吸収、歯肉退縮、むし歯、歯肉炎、口腔粘膜の傷、歯の骨性癒着、顎関節症があります。