口ゴボとは

日本人によく見られる「口ゴボ」。口唇のあたりがモコッと膨らんでいるように見える症状で、コンプレックスに感じている人も多いことでしょう。口ゴボはとくに横顔の輪郭に大きな影響を与えるため、「横顔に自信がない」と悩む傾向にあります。

そんな口ゴボは、矯正治療で改善できることをご存知でしょうか?梅田オランジェ歯科・矯正歯科では、これまでたくさんの方の口ゴボの症状を矯正治療で改善してきました。当院の矯正治療のゴールの一つとして「顔の審美性を重視した矯正治療」を理念としておりますので、口ゴボでお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。

かんたんセルフチェック

口ゴボは、お口の外に現れる症状なのでセルフチェックすることができます。その際、わかりやすい指標となるのが「E(エステティック)ライン」です。

横顔の美しさの指標「Eライン」

鏡で横顔を観察した時に、鼻先と顎先を結んだ線をEラインといいます。Eラインは下アゴに向かって斜めになるのが一般的ですので上唇より下唇が少し内側に入っているのが理想的とされています。Eラインの外側に口唇が位置している場合は、口ゴボであると判断できます。

【口ゴボ】口唇がEラインの外側に出ている

Eラインは、鼻先と顎先に人差し指を当てるだけでセルフチェックできます。ご自身の口ゴボの症状が気になる方は、鏡の前で調べてみてください。精密な検査・診断は、歯科医院で行う必要があります。

*注意 Eラインはあくまで口元評価の指標の一つであり、口唇がEラインの内側にあっても口ゴボ感がある場合もあります。症状によりEライン以外の他の指標を確認する必要があるため注意が必要です。

口ゴボの治療法

4種類ある口ゴボ

実は、口ゴボは正式な医療用語ではありません。インターネット掲示板、SNS等から派生した用語です。口元に悩んでいる人たちがSNSでどう表現していいのか困った時に便利な用語として使用されるようになりました。今では口ゴボという言葉は広く知れ渡り、患者説明にも便利なため病院クリニックでも説明に使われる用語になりました。

ここで注意が必要なのは、口ゴボは医療者がつくった言葉ではないため、正しく症状を表せてはいないということです。つまり、実際には複数の症状が混ざって使われてしまっているのです。口ゴボには以下の4つの症状があると考えられます。

口ゴボの種類

  1. 前歯唇側傾斜(前歯が前に傾斜している)
  2. 上顎前突(上アゴが大きい)
  3. 下顎後退(下アゴが小さい)
  4. ロングフェイス

なぜ、口ゴボには4つの症状が混ざっているのが問題かというと、それぞれの症状に対して治療方法が違うからなんです。もし、口ゴボの治療だからといって全員同じ治療を受けても、審美的なフェイスラインにはならない可能性があります。良くなるどころか、鼻の下の人中(じんちゅう)が長くなってしまったり、ほうれい線が出て老け顔になってしまう事もあります。

これは医療従事者でも意外と知らない人が多く、口ゴボの治療を希望すると、とにかく前歯を引っ込めようとする先生がたまにいます。それでも①の場合なら治りますが、他の症状の場合にはうまく治りません。自分はどの口ゴボにあてはまるのか?骨格などの矯正学的知識に詳しい先生から正しく診断を受けるようにしましょう。

口ゴボの治療例

【30代・女性】ワイヤー矯正による口ゴボ治療

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【20代・女性】ワイヤーとアンカースクリュー治療

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口ゴボの原因

口ゴボの原因は、生まれる前から決まっているもの(先天的な要因)と生まれてから決まるもの(後天的な要因)の2つに分けられます。

先天的な要因

顎の骨が突出している

上もしくは上下の顎骨が前方に突出している骨格は、口ゴボになりやすいです。

歯が並ぶスペースが足りない

顎骨の横幅が狭い場合や歯のサイズが大きいと、歯が並ぶスペースが足りなくなって前歯が前方に傾くなどの症状が認められます。

歯の本数が多い

永久歯の数が本来よりも多く生えてくる過剰歯(かじょうし)があると、スペースが不足して前歯が前方に出ることがあります。

後天的な要因

舌癖や爪咬み、咬唇癖、指しゃぶりなどの習癖

飲み物を飲み込むときなどに舌先で前歯を押してしまうことを舌癖といいますが、このような癖は通常2,3歳ごろになくなりますが、大人になっても残ってしまっている場合にはこれが原因で口元が出っ張ってしまうことがあります。また、せっかく矯正治療で口ゴボを治しても後戻りの原因にもなります。

また指しゃぶりや爪咬み、唇を咬む癖などは子供の習癖に様に感じますが、意外と大人になっても寝付くときや集中時にしてしまっている人は多いです。これらの癖も口ゴボを悪化させる要因になります。

口ゴボを放置するデメリット

口ゴボを放置していると、次に挙げるようなデメリットが生じるため十分に注意しましょう。

デメリット1:口元に自信がなくなる
口元に自信が持てなくなって、積極性が失われたり、性格が内向的になってしまったりすることは、極めて大きなデメリットといえます。口ゴボに悩まされている方の多くは、この点を改善したいと考えていることでしょう。
デメリット2:お口の中が不潔になりやすい
口ゴボの症状が強いと、口唇を閉じるのが難しくなります。その結果、口腔乾燥が引き起こされて、唾液による自浄作用・殺菌作用・抗菌作用が弱まってしまうのです。口内細菌の活動が活発化すれば、口臭が強くなるだけでなく、虫歯や歯周病といった細菌感染症のリスクも増大します。
デメリット3:食べ物を噛みにくい
口ゴボでは、上下の前歯が正常に噛んでいないことが多いことから、そしゃく効率が低下して奥歯に大きな負担がかかります。食べ物を十分にそしゃくしていない状態で飲み込めば、胃腸への負担が増大します。
デメリット4:顎関節症になりやすい
口ゴボの背景には、上顎前突(じょうがくぜんとつ)や上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)といった不正咬合(ふせいこうごう)が潜んでいます。こうした歯並びは、そしゃくの支点となる顎関節に過剰な負担がかかるため、顎関節症のリスクを高めることがあります。口を大きく開けられない、口を開け閉めするとカクカク鳴る、顎関節やその周囲の筋肉が痛い、といった症状が出ている場合は要注意です。

口ゴボ矯正が向いてない人

次に挙げるような人は、口ゴボの矯正が向いていない可能性があります。

顔幅が細い人

顔幅が細い人は、口ゴボ矯正をすることによって、さらに顔幅が細くなり、ほうれい線が目立つようになるかもしれません。ほうれい線も顔貌に与える影響が大きいことから、そのリスクについては事前に正しく理解しておくことが大切です。

骨や歯ぐきが少ない人

歯並びが悪い人の中には、歯を支えている骨や歯ぐきが少なくなっていることもあります。歯を動かす過程で、歯茎が下がる歯肉退縮(しにくたいしゅく)が起こったり、歯根が露出したりするリスクが高まります。

適切でない治療を受けた場合に起こりうるフェイスラインの変化

①頬ごけ

これもSNSから発生した民間用語ですが、症状をよく表しています。顔の横幅が狭くなり、ゲッソリ瘦せて頬がこけたような顔になります。ほうれい線も深くなり老人様顔貌と呼ばれることもあります。

②人中が長くなる

鼻の下から上唇までの間のくぼみ(人中)が下に伸びて長くなり、間延びしたような顔になることがあります。横顔の凹凸が少なくなるため横顔が入れ歯を入れた老人のような顔に見えることからこれも老人様顔貌と呼ばれることもあります。

③前歯が見えなくなる

前歯が後ろに下がりすぎると唇に隠れてしまい見えなくなるため口の中が薄暗くなり元気なハツラツとした印象が減ることがあります。

④歯ぐきが見えすぎる

前歯を後ろに下げるときに下方にも下がってしまう場合がありますが、この場合には前歯が見えすぎる、または歯ぐきも見えすぎるようになってしまい、ガミースマイルになってしまう場合があります。

⑤歯列の外側が暗くなる

笑った時に唇の中には歯が見えるだけではなく、よく見ると歯列の側方には少し余剰部分があり暗く見えるスペース(バッカルコリドーまたはネガティブスペースと呼ばれます)があります。抜歯などをして歯列が狭くなると、大きめのバッカルコリドーにより口の中が暗くなり笑顔の印象も暗くなってしまう場合があります。

まずはお気軽にご相談ください

口ゴボ治療によるフェイスラインの予測は難しいですが、適切な口ゴボ治療を受けることで多くの場合は避けることができます。また、万が一なってしまった場合でも適切な位置に歯列を戻してもらうことで回復することができる場合もあります。

口ゴボ、オランジェ矯正歯科がカウンセリングします。こうしたリスクは、実際に精密検査を行ってみなければ判断できませんので、まずは矯正治療知識の深い矯正歯科医師のもとで矯正相談を受けてください。検査結果をもとに分析を行い診断する時点で口ゴボ矯正に伴うリスクもお伝えできるかと思います。

よくある質問と回答

Q.口ゴボは必ず治した方が良いですか?
A.“必ず”ではありませんが、治した方が良いといえます。とくに上顎前突や前歯唇側傾斜が原因となっている口ゴボは、正常な状態ではないため、矯正治療によって改善するのが望ましいです。
Q.口ゴボは自分で治せますか?
A.口ゴボを自力で治すことは難しいです。歯並びや骨格の異常は、矯正治療でなければ改善できないからです。前方に出ている前歯を自力で治そうとすると、歯や顎の骨に深刻なダメージが及ぶことがあります。かえって歯並びが悪くなることもあるため、口ゴボの治療は専門家に任せるようにしてください。
Q.酷い口ゴボも歯医者で治せますか?
A.基本的には改善できます。ただし、重症度の高い口ゴボは、外科矯正を併用しなければならないケースも珍しくありません。その場合は、口腔外科と連携しながら口ゴボの治療を進めていくことになります。
Q.子供(未就学児)の口ゴボが気になります。
A.まずは矯正歯科に相談しましょう。未就学児の場合、成長に伴って口ゴボが解消することもあるため、治療を見合わせることもありますが、アゴの成長に問題がある場合には積極的に成長に介入して矯正治療を行うことで早期に口ゴボが予防できることもあります。矯正相談は、気になる症状が出てきた時点で受けるのが正解です。矯正相談を受けたからといって、すぐに治療を始めなければならなくなるわけではありませんので、その点はご安心ください。
Q.50代でも口ゴボを治せますか?
A.治すことは可能です。口ゴボの歯列矯正に年齢制限はありませんので、50代の方でもお気軽にご相談ください。ただし、昔はそうでもなかったけど最近になって口ゴボになってきた、という場合は注意が必要です。口ゴボの原因として、歯周病が発生して骨がもろくなり、結果として前歯が出てきている場合があります。この場合には矯正治療に先行して歯周病治療が必要となる場合があります。